叱り方は、育て方
「人間は平等である」と言われます。しかし、富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなるのも事実。
これを「繁栄の矛盾」といいます。
繁栄の矛盾を、経済学者のヴィルフレド・パレートは、
「富の80%は、20%の高所得者に集まり、残った20%の富は、80%の低所得者に分配される」
と分析しました。これが80対20の法則です。
(20対80の法則とか、2対8の法則とか、80対20ルールとも呼ばれます。
日本のマネジメント層の多くは「ニハチ(ニッパチ)の法則」と呼びます)
ニハチの法則は今や、経済学のみならず、自然科学からビジネスまで、あらゆる分野に応用されています。
いくつか例を並べましょう。
- 大気中に含まれる窒素は約75%。酸素は約23%。おおよそ、80%対20%
- 正方形の中の4辺に接する円の面積は78.5%。それ以外の四隅の和は21.5%。おおよそ、80%対20%
- 食品から採るコレステロールの量は20%。体内(肝臓など)で作られるコレステロールの量は80%。80%対20%
8対2のバランスがちょうどいいんです。ところが、近ごろでは、
- 売上の80%は、顧客全体の20%である優良顧客による
- 売上の80%は、商品全体の20%である売れ筋商品による
- 売上の80%は、社員全体の20%である優良社員による
- 苦情の80%は、顧客全体の20%からのクレーム
- ビールと泡の割合は80対20が一番うまい
- 蕎麦のつなぎに使う小麦粉は20%。そば粉が80%。いわゆる二八蕎麦
さすがに、二八蕎麦を、ニハチの法則に当てはめるのは笑ってしまいますが、この法則に則って、叱るのは2つくらいにしておいて、あとの8つはほめるようにしてみましょう。
それが一番バランスのよい叱り方とほめ方。
どこの本にも書いてありませんが、
叱り方とは、育て方
なのですよ。私は従業員を雇用してみて学びました。叱り方が悪ければ伸びません。ほめ方が悪くても伸びません。伸びないからといって悪いのは、叱られる方ばかりが悪いのではなく、叱る側の叱りも悪いのです。
(もちろん、どう叱っても、どうにもならない人やケースもあります。自分を動かすよりも、人を動かす方が、何倍も難しいものです)
大事なコトなので、もう一度。