理感一致の法則とは?人は理論のみならず感情で動く

人を動かす

理感一致の読み方は(造語)りかんいっち



してみせて、言ってきかせて、させてみる

名君の誉れ(めいくんのほまれ)高き上杉鷹山(うえすぎようざん。米沢藩九代藩主)は、人の動かし方について、

「してみせて、言ってきかせて、させてみる」

と説きました。鷹山の名言と言えば、

為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」

も有名ですが、「なせば成る」は、鷹山より230年前に生まれた武田信玄の

為せば成る、為さねば成らぬ成る業を、成らぬと捨つる人の儚き」

との考証もあります。

信玄と鷹山の生年が、端数なくしてピッタリ230年というのは奇遇です。

垂範 ・指導・試行の理詰めで人は動くという訓え

  1. やって見せる[垂範]
  2. やり方を教える[指導]
  3. やらせる[試行]

三段階の理詰めで人は動くという訓えです。名君と呼ばれた鷹山の理知が窺えます。

これを参考にしたかどうか、山本五十六(連合艦隊司令長官)の名言、

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」

は、締めくくりに、

ほめることで、人は動く

と付加したのではないでしょうか。上杉鷹山の

「手本を見せ、教えて、試させる」

という理詰めに加え、

ほめて、嬉しがらせる

という感情論を加えた、人を動かす方法です。

ほめられると、脳内に、快楽物質のセロトニンや、ドーパミンが放出されることを、山本長官は、知っていたのかも知れません。

脳内物質のセロトニンは別名「やる気」物質と言われますので、ほめられ、気分が良くなり、動き出す人間の脳の仕組み。

やり方なる理屈のみ伝えたところで、人を、動かせないことがあったのは、だれしも一度は経験があるでしょう。

短歌になっている山本長官の名言

余談ですが、ユニークなのは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」が、五七五七七の短歌になっていること。

わざと短歌にしたのでしょうか、覚えやすいはずです。

理論と感情が一致した状態の「理感一致」で人は動く

そもそも、垂範・指導・施行は、

  • 初体験の段階か、
  • ステップアップ

の段階にある相手へ対する指導法ですから、試していきなり100点満点で成し遂げられるのは天賦の才があるといってよく、これから伸びていく、ほとんどの教え子が

  • 「まあまあ」か、
  • 「全然ダメ」

の場合が多いでしょう。初心者にして「すげえ!」は天才。

ダメだと否定するのは誰でもできる

やってみた、できなかった、だからといって、よくない結果を否定するのは誰でもできます。結果はともあれ、

まずは「よくやった」

と、試したこと。やったことを褒めたほうが、もう一度やり直す励みになります。

つまり、何かをやらせてみた結果の良し悪しを評価するのは二の次。

「よくぞ試した」と挑んだ勇気を褒める

ほめるのが先。否定はその後、褒めた後に「でも、ね」と酷評を下す。これが、 ほめてやらねば「人は動かじ」ということ。

それあ確かに、結果が悪い責任は、できなかった本人にありますが、やらせた指導者にも責任あると思いませんか?

試させた責任は、試させた指導者にある

その指導の通り、やってみて、その結果を「ダメだ」と否定するのは、試させた指導者本人の責任を糾弾するも同じ。

それを頭から否定するのは、

「自分は指導力が無い」と白状しているようなもの

山本五十六長官は、日露戦争や真珠湾攻撃といった歴史的な修羅場の中より、誰から教わるともなく、四段階目の「ほめる」が必要だったこと自得したのでしょう。

ほめてやれば人は動く

また、

「ほめてやらねば人は動かじ」

を逆説すると、ほめてやれば人は動くになります。

人を動かしたかったら、その結果を云々いうより先に、試した事実を褒めること。

試した事実を褒める

何も難しい話じゃありません。チャレンジを促し、チャレンジし終えた作業に対し、

「よくやった」

と一言、声をかけるダケのこと。一秒で済みます。一円もかかりません。

失敗の原因は褒めたあと

山本長官は、名言の中で、理論と感情が一致した“理感一致”で人は動くと教えてくれていたようです。

理解しているようで、分析し切れていなかったようです。

人を動かす唯一の原則「やって見せる」

上杉鷹山と山本五十六は、人を動かす唯一の原則についても教えてくれています。それは先ず、やって見せること。

何より先に、自身が動くこと

たとえ、完っ璧な見本でなくとも構いません。

「こういう風にやるんだよ?」

と、手本を見せるだけでよい。相手は初心者なんだから。

その動きを見て、やってみようかなと動き出す。

指導者の動きを見て、見よう見まねで動く

逆にいうと、言うだけ言って動かない口先(くちさき)人間のあとに続く人は、少数。

人を動かすには、あなたを動かすこと。

あなたを動かすためには、あなた自身を肯定すること。

自分を肯定し誰かを肯定するスパイラルアップ

  1. あなたが変われば、
  2. 周りが変わります。
  3. 周りが変われば、
  4. あなたが変わります。

そのようにスパイラルアップします。

理感一致の法則は造語

理感一致は、当サイトの運営者にして「こんなに頑張ってるのにうまくいかない!!と思ったら読む本」の著者・小笠原が作った造語です。

商業利用の際は、引用元の明記をおすすめます(当方へ問い合わせが来ても、文責が取れませんので)


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