人は理屈と感情の一致で動く
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名君の誉れ(めいくんのほまれ)高き上杉鷹山(うえすぎようざん。米沢藩九代藩主)は、人の動かし方について、
「してみせて、言ってきかせて、させてみよ」
と説きました。(動けという命令のみで)理論なくして動けないのは当然として、
垂範 ・指導・試行の理詰めで人は動くという訓え
- やって見せる[垂範]
- やり方を教える[指導]
- やらせる[試行]
三段階の理詰めで人は動くという訓えです。名君と呼ばれた鷹山の教科書のような理知が窺えます。
これを参考にしたかどうか、山本五十六(連合艦隊司令長官)の名言、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
は、上杉鷹山の訓えに、付加し、
締めくくりに、ほめることで、人は動く
と説きました。上杉鷹山の
「手本を見せ、教えて、試させる」
という理詰めに加えて、
ほめて嬉しがらせる
という感情論を加えた、人を動かす方法です。
鷹山説は理屈派ですが「理屈だけで、人は、動かないことがある」現実を、私たちは知っています。
一方、山本長官の訓えは、褒めることで、気分が刺激され、動き出す仕組み。
理論と感情が一致した状態の「理感一致」で人は動く
ということです。そもそも、垂範・指導・施行は、
- 初体験の段階か、
- ステップアップ
の段階にある相手へ対する指導法ですから、試していきなり100点満点で成し遂げられるのは天賦の才があるといってよく、これから伸びていくほとんどの教え子が
- 「まあまあ」か、
- 「全然ダメ」
である場合が多いでしょう。その結果を
ダメだと否定するのは誰でもできる
と思いませんか?そう、褒めるというプラスのストロークなくして、真っ先に酷評するのは大きな間違い。結果はともあれ、
まずは「よくやった」
と、試行(試してみたこと。やったこと)自体を褒めたほうが、もう一度やり直す励みになります。
つまり、何かをやらせてみた結果の良し悪しを評価するのは二の次で、まずは最初に、
「よくぞ試してみた」と挑んだ勇気を褒める
のが先。褒めた後に「でも、ね」と酷評を下す。これが、 ほめてやらねば「人は動かじ」ということでしょう。
そりゃあ確かに、結果が悪い責任は本人にありますが
試させた責任は誰にあるかというと、試させた指導者にある
のは確か。
その指導の通り、やってみて、その結果を「ダメだ」と否定するのは、試させた指導者本人の責任を糾弾するも同じこと。頭から否定するということは、
「自分は指導力が無い」と白状しているようなもの
です。だから先ずは、試した本人に対して、「よくやった」と誉める。それが、試させた自分の指導力をも褒める、
相手と自分へのダブル・ストローク(Double-Stroke)
になります。山本五十六は、日露戦争や真珠湾攻撃といった歴史的な修羅場の中から、誰に教わるともなく、四段階目の「ほめる」が必要だったこと自得したのでしょう。また、
「ほめてやらねば人は動かじ」
を逆説すると、
ほめてやれば人は動く
になります。あなたが人を動かしたかったら、その結果を云々いうより先に、
試した事実を褒める
ことです。何も難しい話じゃありません。チャレンジを促し、チャレンジし終えた作業にたいして、
「よくやった」
と、たった一言、声をかけるダケのことです。一秒で済みます。一円もかかりません。
失敗の原因を検証するのは、それからでも充分に間に合う
と思いませんか?ストロークという心理学が生まれる前に戦死した軍人は、「理論と感情が一致したときの“理感一致”で人は動く」と教えてくれていたのです。
人を動かす唯一の原則「やって見せる」
上杉鷹山と山本五十六は、人を動かす唯一の原則についても教えてくれています。それは先ず、やって見せること。
何より先に、あなた自身が動くこと
です。たとえ、完っ璧な見本でなくとも構いません。
「こういう風にやるんだよ?」
と手順を見せるだけでよいのです。その動きを見て、
まわりの人たちも「やってみようかな」と動き出す
のが人情というもの。逆にいうと、言うだけ言って動かない口先(くちさき)人間のあとに続く人は少数ですよね?
人を動かすには、あなたを動かすこと。あなたを動かすためには、あなた自身へプラスをストロークすること。
自分自身へ向けたインターナル・ストローク
そして、周囲へ向かって「さあ、やってみよう」とストロークすることです。
エクスターナル・ストローク
インターナルとエクスターナル、どちらのプラスのストロークでも構いませんので、毎日毎日、意識してストロークしてみて下さい。そうすれば
- あなたが変わります。
- あなたが変われば、
- 周りが変わります。
- 周りが変われば、
- あなたが変わります。
そのようにスパイラルアップすることでしょう
理感一致は造語
理感一致は、当サイトの運営者にして「こんなに頑張ってるのにうまくいかない!!と思ったら読む本」の著者・小笠原昭治が作った造語です。
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